研究目的
オーロラの高さは約90 kmから数百 kmにわたり、様々な輝線を発します。オーロラは、宇宙からの降り込み粒子(電子・陽子)の情報が発光現象により可視光に変換され地上に届けられる変換層(conversion layer)となっています(図)。「オーロラ変換層」での「オーロラ発光」のスペクトル(輝線)の時空間発展を観測することで、上流の宇宙からの降り込み粒子の挙動が明らかになり、オーロラ発生メカニズムに迫ることができます。しかし、スペクトルの2次元空間分布は殆ど観測されておらず、その時空間発展はよく分かっていません。
本プロジェクトでは、高い波長分解能を持つ2次元スペクトロメータを用い、オーロラの色の空間分布を正確に定義します。この手法は、幾つかの波長を選別して取得した2次元画像による現在主流のオーロラ研究とは一線を画し、空間2次元+ 波長1次元のスペクトル画像からオーロラ降り込み粒子のエネルギーと空間分布の情報を得ることができ、オーロラ発生メカニズムの研究に質的に大きな変革をもたらすものと期待されます。