ハイパースペクトルカメラの視野を拡大
昨年に引き続き、スウェーデン・キルナのSSC (Sweden Space Center, Esrange Space Center) のKEOPS (Kiruna Esrange Optical Platform Site) を訪れました。今回の目的は、昨年設置したハイパースペクトルカメラの視野拡大です。オーロラ観測プロジェクトを一緒に立ち上げた京都大学・生存圏研究所の海老原さんにも参加していただきました。ハイパースペクトルカメラは2次元画像+波長の3次元データが得られるカメラで、視野は天頂から45度の領域に限られていましたが、今回はその視野を90度に広げました。作業は天候が悪くなる前に終えるべく、初日の午前中に行いました。2日目の午後から雪が降り始め、丘の上のKEOPSには上がれなってしまいました。SSCのゲストハウスに宿泊してオーロラの画像の確認を行い、全天カメラとほぼ同様の視野がハイパースペクトルカメラでも得られていることがわかりました。
また、SSC近郊のスウェーデン宇宙物理研究所(Swedish Institute of Space Physics IRF)というオーロラの観測施設を訪問して、昨年のハイパースペクトルカメラのデータを解析しました。その翌日に開催されたSMILE衛星観測に関する国際会議では、IRFの山内さんがその解析結果を紹介しました。
今回の観測では、赤いオーロラを観測することができました。オーロラは緑の光が強いのですが、その上部で赤の光が見えることがあります。ハイパースペクトルカメラでは光の波長を精密に観測できるため、赤いオーロラの発光メカニズムの解明に役立ちます。
ここまでは順調だったのですが、帰国のために空港に向かう日の朝、大雪が降りました。SSCの守衛さんの門を出ると、坂道を登れずに車がスタックしてしまいました。除雪車で雪かきをしてもらい再度挑戦しましたが、再びスタック。これでは日本に帰れない!と途方に暮れていると、守衛さんはホイールローダーに大量の砂を運んできて道に撒いてくれました。この案が功を奏し、ようやく坂道を登ることができました。ここを登ってしまえば、あとは空港までは緩い下り坂。なんとか空港にたどり着きました。