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本格的にオーロラ観測を開始

先月に続いてスウエーデン・キルナのSSC(Esrange Space center)内のKEOPS(Kiruna Esrange Optical Platform Site)に再び来ました。今回の目的の一つに、小屋内に設置した機器が放つLEDの緑が、ドーム内面の反射によりオーロラのように見えるという、「偽オーロラ問題」の解決があります。そのためにドームと観測機器の間に黒い布を設置し、カメラレンズだけが通る穴を開けました。外からは、カメラレンズが頭を出しているのが見えます。

日本では暑い日々が続いていましたが、キルナはもう冬です。滞在中に雪が降りました。観測小屋がある丘の上に上がろうとしましたが、100mも行かないうちに我々の車が雪でスタック。SSCスタッフの四輪駆動車に乗り換えたところ、道半ばでまたもやスタック。除雪車が入るのを待って、ようやく上がれました。小屋の周りも一面の雪です。入り口の雪かきをしてようやくドアが開きました。

今回のオーロラは、9月よりも弱く暗い印象です。それでも二重カーテンのオーロラが出現し、よく見ると上が紫で下が緑でした。全天カメラとハイパースペクトルカメラによるオーロラ観測が始まりました。

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機器を暗幕で覆いました
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カメラのレンズだけが頭を出しています
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四駆の車でもスタック
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小屋の周りも雪
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二重カーテンのオーロラ
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上の方は少し紫色
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全天カメラのイメージ
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ハイパースペクトルカメラのデータ
  

キルナにはSSCの他にも近郊にスウェーデン宇宙物理研究所(Swedish Institute of Space Physics IRF)というオーロラの観測施設があり、見学に行きました。建物の屋上には観測ドームが並んでいて、複数のカメラが空に向いています。異なる波長の全天映像を撮るために、前面に様々な干渉フィルターを取り付けたカメラもありました。

このIRFで長年研究されている山内さんのグループと、議論をする機会を得ました。我々のニ次元分光器の初データには大変興味を持っていただいて、「共同研究をしましょう」と話が進みました。分光器を使ったオーロラ全天観測は他にはないらしく、「貴重なデータですよ」と言われ、非常に嬉しくなりました。

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屋上の観測ドーム
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複数のカメラの映像が表示されている
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干渉フィルター付きカメラ
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IRFの研究グループと共に