研究背景

 プラズマ中の乱流は、通常の中性流体乱流とは異なる性質を持ちます。プラズマ中の乱流には、以下のような特徴が挙げられます。これらの特徴により、プラズマ中では複雑な乱流現象が創発されます。

プラズマ中の乱流の特徴:
・電子とイオンが個別のスケールに共鳴機構を持ち不安定性を励起する
・非平衡解放系特有の粒子・熱・運動量の流出入が作る多様な空間勾配自由エネルギーが局在する
・波動-粒子相互作用によって速度分布関数に揺らぎ構造が発生し維持される

プラズマ中の乱流は、プラズマ全域にわたる粒子や熱、運動量の輸送を駆動することでプラズマのマクロスコピックな性質を決定します。このため、太陽や天体プラズマ、核融合プラズマで普遍的にみられる構造形成や突発現象を理解するためには、乱流現象の解明が欠かせないのです。


突発現象:いつ起こっても不思議はないがいつ起こるかはわからない、予測困難な現象。エネルギーが蓄積し続けるが何も起こらない(準安定)状態が何らかの変化を引き金にエネルギーが解放され、別の安定した状態に移り変わること。エネルギーが一定量蓄積されることで起こる「間欠現象」と対比される(参考:【プレスリリース】プラズマ損失の直前予知を可能にする新発見)。