研究背景

核融合プラズマ中の燃焼状態の物理を理解するためには、その温度、密度状態を実験的・数値的に模擬し、複雑現象から重要となる物理現象を的確に抽出しなければならない。そうすることで効率の良い小型核融合炉の実現も可能になる。近年、核融合スタートアップ企業やダイポール装置の研究が活発に行われているが、ここでは強磁場ミラー装置によるプラズマ燃焼物理の模擬実験を提案する。核融合炉のトレンドはトカマクのようなトーラス装置が主流であるが、ここでは単純な軸対象ミラーシステムを考える。これまでの直線装置は磁場が低く、電子密度が1020m-3、電子温度10 keVのプラズマ生成は困難なため、低温プラズマ実験やプラズマ照射実験に使われてきた。核融合燃焼に必要なプラズマを模擬するにはイオン温度Ti~10 keVを閉じ込め可能な強磁場領域が必要である。

図.本研究がターゲットとする密度・温度領域。