研究成果
ICF規格のブランクフランジをモデル材料として三次元点群データの取得を行いました。真空配管は鏡面で軸対称形状であるため特徴が少なく、三次元点群データの取得が通常困難であるが、表面改質や、カラーマーカーの使用など工夫することで、実用レベルで3次元点群データを取得することができました。
取得した点群データは画像処理、CADソフト等により簡略化・穴埋めなど処理した後、形状データへ変換しました。続いて、GEOUNEDコードを用いて形状モデルを放射線輸送計算用3次元モデルへ自動変換しました。放射線検出器である高純度ゲルマニウム半導体検出器を放射線輸送計算体系内に加え、ガンマ線の輸送及びゲルマニウム内での光電効果の発生頻度を評価することができました。
以上の手順により、高純度ゲルマニウム半導体検出器による実測データと組み合わせることで、複雑な形状を有する測定試料の放射能を定量評価する見通しが得られました。今後は、より複雑形状を有し、大型の物体についても同様の手順で放射能の定量評価が可能か試験を進める予定です。また、得られた放射性の誤差についても検討が必要です。現状では、3Dスキャナーを用いて取得し一連の処理を行った測定試料の放射線輸送計算用3次元モデルは、モデル内部の放射能分布は均一と仮定して計算を行うが、仮に試料内部が局所的に放射化している場合は計算結果との乖離が生じてしまいます。このような局所分布を考慮した誤差を含んだ放射能評価をハイスループットで行う方法論を構築したいと考えています。


