研究背景

LHD等の核融合実験装置や放射線治療に利用される医療用加速器には、多様な計測器やポンプ等の駆動部が付属されるが、これらは運転中に放射化するため、その管理には十分な注意が必要となります。これらの装置の運転停止後は、効率的な機器利用の観点から、利用可能な付属機器は取り外して他の装置にて使用することが望ましいと考えられます。このような機器の運用は同一管理区域内であれば問題ありません。しかし、例えばLHDで使用した機器をJT-60SAで使用するなど他施設へ移設する場合には、残留放射能評価が必要となります。

ある機器から放出される放射線(例えばガンマ線)の検出効率は、自己遮蔽や放射線検出器との幾何学的配置の影響を強く受けます。従って、機器の三次元形状・材質、検出器の位置等の計算体系を構築し、放射線輸送計算により検出効率を評価する必要があります。放射線輸送計算では多くの場合、この計算体系構築に最も時間を要します。しかしながら、大型実験装置の各付属機器は構造が複雑でそれぞれ異なり、さらに量も膨大です。従って、装置運転終了などに伴う機動性の高い機器移設には残留放射能評価がボトルネックになると考えられます。

放射線輸送計算体系の生成方法。生成した体系を用いて放射線検出効率を評価し、放射線測定データとの対比から放射能を評価する。