研究方法

 分子科学研究所 極端紫外光研究施設(UVSOR)や広島大学放射光科学研究所(HiSOR)を利用して、ガスや固体試料に光を照射し、その挙動を調べます。

気体との相互作用

 UVSORの BL7B、BL1Uにおいて、光(主に真空紫外~可視域)をガスセルに導入し、電極プローブ計測や分光計測などで光電離・光励起過程と有機分子の化学進化を調べます(図1)。

BL7B:高分解能真空紫外固体分光装置
BL1U:紫外・真空紫外線、ガンマ線照射実験装置
詳細:UVSOR ビームラインリスト

   
図1. 2023年8月実施の実験におけるガスセル

固体試料との相互作用

 石英(またはCaF2)基板に蒸着したアミノ酸試料薄膜に、UVSOR BL1Uと HiSOR BL-12からの円偏光を照射します。そして、円二色性分光計測、XAFS計測、走査型プローブ顕微鏡(分子科学研究所 機器センター)などを用いて、アミノ酸の選択的光分解や構造変化を調べます(図2、3)。また、宇宙における磁場を考慮し、磁気光学効果にも着目して実験を進めます。

BL-12:広島大学放射光科学研究所(HiSOR)の真空紫外円二色性分光装置(生体材料用)。近紫外~真空紫外域の円二色性(CD)スペクトルが測定できる。詳細:HiSOR 生体物質科学グループ

図2. 磁場印加型アミノ酸試料ホルダー
図3. BL1Uにおけるアミノ酸への円偏光(CPL)照射実験の様子

星間有機物の新たな進化過程の検証

 星間有機物の新たな進化過程(Top down scenario)の検証を目的として、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において、アミノ酸試料を周辺プラズマに曝露する実験を実施しています(図4、5)。

図4. 星間有機物のTop down scenarioのイメージ
図5. LHD周辺プラズマへのアミノ酸試料の曝露実験